例えば、所有権の登記をした場合、登記をした当時の名義人の住所が登記されます。
その後、住民票の転出、転入届を役所に提出したとしても登記上の住所は動きません。
今回は、その住所変更登記を自分で行う方法をご紹介します。
スタンダードな例として、土地建物について一人の名義の場合を想定します。
共有物件や敷地権付きマンションなどの場合は若干記載方法が異なります。
①現状登記されている住所を確認する
お近くの法務局に行き「登記事項証明書」を取得しましょう。
物件一つにつき印紙代で600円必要になるので、土地建物一つずつ、計2つの場合は1200円になります。
登記事項証明書の内容を見て登記上の名義人の住所を確認しましょう。
変更が全くない場合は昔の登記事項証明書で結構ですが、区画整理や市政移行などで変更が入っている場合があるので新たに取得するに越したことはありません。
②住民票の写し等の取得
住民票の写しを役所で取得しましょう。
その際に「前住所」の欄に登記上の住所があるか確認しましょう。登記上の住所と現住所がつながるまでの証明書が必要なので、ここで繋がらない場合は「履歴付きの住民票の写し」または「戸籍の附票」を取得しましょう。
「履歴付きの住民票の写し」は、前住所のほか前々住所まで記載されることがあります。そこで登記上の住所が記載されていれば問題ありません。
「戸籍の附票」として、本籍地の役所に請求して住所の履歴を記載された証明書を発行してもらいます。本来、戸籍の全部事項証明書には、本籍地は記載されても住所は記載されません。この「戸籍の附票」は、住所の履歴を記載してくれる証明書となります。ここで登記上の住所が記載されていれば問題ありません。
それでも住所が登記上のものと繋がらない場合の方法もありますが、あくまで「自分でやる住所変更登記」なので今回の記事では割愛させてもらいます。
それでは住所が繋がったものとして、次に進みます。
③管轄の確認
登記を担当する法務局は「物件の所在地」を管轄する法務局となります。
下記の法務局のウェブサイトを参照ください。
例えば、弊所がある名古屋市天白区の物件でしたら「名古屋法務局名東出張所」が管轄となります。
④申請書の作成
下記【1枚目】と【2枚目】、そして3枚目として住民票の写し(または戸籍の附票)をホッチキス止めします。
左に2か所止め、本のような形にします。
【1枚目】申請書表紙
⑴ 「1番」というのは、対象の所有権が登記されている順位番号の記載です。
登記事項証明書で確認しましょう。
⑵ 住所移転した年月日を住民票の写しまたは戸籍の附票から確認、記載しましょう。
年月日の後に「住所移転」と記入します。
⑶ 新住所(現住所)を記入します。
⑷ 住民票上の住所氏名を記入します。
⑸ 「認印」を押印します。実印でなくても大丈夫です。
⑹ 提出する年月日と③で確認した管轄を記入します。
⑺ 不動産の数 × 1000円 の登録免許税となるので、合計額を記入します。
⑻ ①で取得した登記事項証明書から、不動産を記入します。
※ 上部の空白は法務局側で使用する欄のためのスペースです。
【2枚目】印紙貼付台紙
⑼ ⑺で記載した分の収入印紙を貼り付けます。消印はしません。
⑽ 【1枚目】と【2枚目】のページの間に⑸と同じ印鑑で「契印」を押します。
この「契印」によって、【1枚目】と【2枚目】が「人つなぎの申請書」であることを意味します。
以上が申請書となります。
申請書の提出
管轄法務局に申請書を提出します。
提出後は完了まで3日~3週間くらいかかることを見込みます。
住所変更のみであった場合は比較的早く終わる可能性があります。
完了書受領と証明書取得
登記完了後は「登記完了証」を法務局でもらえます。
あらためて「登記事項証明書」を取得して住所移転登記が終わっているか確認してみましょう。
以上で手続完了となります。