不動産を相続したはいいけど「買戻特約」なる記載がされている物件があります。
「抵当権」は何となく住宅ローンで馴染みがある記載ですが、「買戻特約」とは何なのか気になりますね。

上記のように登記に記載されます。
買戻特約とは
売買契約と同時に特約で「売主が買い戻せる権利を与える」のが買戻特約です。
買戻しの期間内に売主は原則としてその売買代金と費用を支払って、売買前の所有状態に戻すことができます。
つまり、現所有者にとってこれはあって得するものではなく、旧所有者である売主のために存在する権利なので、消すことが出来るなら現所有者は消すことが望ましいです。
(買戻しの特約)民法
第579条 不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金(別段の合意をした場合にあっては、その合意により定めた金額。第583条第1項において同じ。)及び契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。この場合において、当事者が別段の意思を表示しなかったときは、不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなす。
買戻特約を抹消するには
買戻しの期間は最長10年です。
10年経過した後は所有者が単独で抹消申請できます。
「抵当権の抹消」のように金融機関と共同で、別途書面をもらう必要はありません。

専門家に依頼せず自分で買戻特約の抹消登記申請を行った場合の申請書モデルです。
紙の書面で申請する場合の登録免許税の納付は印紙を貼る形となりますが、この場合の金額は不動産1件につき1,000円です。件数の数え方ですが、土地建物で個別で1つずつの計算となります。
したがって、土地1つ建物1つであれば2,000円となります。
印鑑は認印で結構です。
添付書面は特に必要ありません。
(買戻しの特約に関する登記の抹消)不動産登記法
第69条の2 買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から十年を経過したときは、第60条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。
単独抹消できない場合は・・?
10年経過していない場合は買戻権者の協力が必要です。
登記上の買戻権者とやり取りする形となります。
難しいようでしたら専門家に依頼するのが無難です。