知らない人や弁護士、司法書士から「あなたには相続財産がある」という内容の手紙が来ることがあります。
詐欺が多い昨今ですが、実際には本当に相続手続が発生していることがあります。

本当に相続発生しているの?

本当かどうか疑ってしまうのもわかります。
ご自身で確認できることもあるので、もし疑わしいのであれば調査するのも良いかも知れません。

差出人の弁護士や司法書士の実在性

弁護士や司法書士に依頼をして手紙を送っているパターンは多いです。
そこで、手紙に記載されている弁護士、司法書士が実在するかまずは検索してみましょう。
弁護士であれば日弁連のウェブサイトで検索が可能ですし、司法書士であれば日司連のウェブサイトが使えます。
こちらで検索に引っかからなければちょっと疑いたくなります。
ウェブサイトには事務所の電話番号が載っているので、公開されている番号に問い合わせて確認しても良いかも知れません。

相続の真実性

ご自身で戸籍収集をして相続が本当であるか確認できます。
手間と費用がかかりますが、不安で仕方ないのであれば直接調査するのも確実な手段ではあります。
また、連絡がとれる親族に聞いてみるのも良い手段だと思います。

相続しちゃっていいの?

まず、疎遠で知らない方の相続であれば負債があるか気にしたいところです。
負債があった場合は相続放棄を検討したいところです。
相続放棄は別途記事を作成しておりますので、そちらをご参照ください。

相続する意思の場合は次に何を相続するか検討する段階です。
専門家が発送した書類は往々にして財産目録や一定の対象財産の記載があります。
預貯金や有価証券は素直に金額や評価を見て良いのですが、一番注意したいのが不動産です。

不動産は相続していいの?

財産目録などには不動産の価格が記載されています。
この価格を素直に見て「相続したい!」と思うのは軽率なので、今一度考えなおしましょう。

評価額の基準

不動産評価、特に土地は評価基準が何種類かあります。

  • 固定資産税評価額
  • 路線価
  • 公示価格
  • 実勢価格(実際に売買された時の価格)

などがあります。
おおよそ、【固定資産税評価<路線価<公示価格<実勢価格】となります。
特に固定資産税評価は、その「評価証明書」の取得が容易なので物件の説明に用いられることが多いのですが、実際の売却価格と乖離していることが多いので、この点は注意しましょう。

売却したい場合の落とし穴

物件を見たことが無い方はそれが売れるものかどうかすらわかりません。
面積が広いけど形が悪かったり日当たりが悪かったり高低差があったり土地にはさまざまな個性があります。
また、上に建物がある場合は取り壊し前提の売却となることが多く、その解体費用も見込まなくてはなりません。
不動産は個性が強く出る財産なので、安易に相続するものではありません。

例えば、農地であった場合は農地法の規制でそもそも売却できない可能性があります。
隣地が境界について揉めている場合は測量の問題で売りにくくなります。
そもそも他の相続人が既に住んでいて出ていく気が無い、そんなこともあります。

このように、不動産はその価格を素直に見て喜べる代物ではなく、

  • 売れるのか
  • 他の相続人も売却に協力するのか
  • 売ったところで利益が出るのか
  • 売れるまでどれくらいかかるのか
  • 売った際の課税はどうなるのか

などを検討する必要があるので、預貯金や有価証券に比べて素直に相続するのは危険な財産なのです。
安易に相続をしたら誰も買わない貰わないような山林だった、そんな落とし穴が相続には潜んでいます。