合同会社の社員の加入方法は大きく分けて次の3つです。

  1. 新たな出資による加入
  2. 持分(社員権)の譲受による加入
  3. 持分(社員権)の一般承継(相続・合併)による加入

株式会社と異なる点は、業務執行社員(株式会社で言えば業務執行取締役)になるには社員(株式会社で言う株主)にならなくてはいけない事です。

株式会社は出資者である株主と業務執行取締役の立場が分離しており、合同会社は出資者である社員の立場の上に業務執行社員が存在します。

登記上注意するポイント

合同会社の業務執行社員の登記において、上記の方法「2.」「3.」については資本金が変動しません。何故なら新たな出資が無く、既存の出資者の立場が移転しただけだからです。

それに対し上記「1.」の方法によると、新たな出資を伴うため資本金の変動の余地があり、変動した場合は併せて資本金の登記を行う必要があります。

「単に業務執行社員を増やしたい」といった依頼者のニーズがある場合は、資本金の増加の登記をするのは費用を余計に増やす結果となります。最低でも実費だけで登録免許税分3万円は余計に見込まれます。
このようなニーズの場合は資本金増加の登記は避けるべきでしょう。

どうすれば資本金を据え置きできる?

会社計算規則第30条柱書によれば、「持分会社の資本金の額は、第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額の範囲内で持分会社が資本金の額に計上するものと定めた額が増加するものとする。」としています。つまり、新たな出資により社員が加入しても増加する資本金は「ゼロ」とすることができます。

では、出資した金銭は資本金ではなく何になるのでしょうか?

答えは「資本剰余金」です。

会社計算規則第31条第1号から、資本金に充てられなかった部分が資本剰余金に充当されるという流れが読み取れます。合同会社には資本準備金という規定がなく、資本金に充てられない出資は資本剰余金にそのまま流れるようです。

お客様への説明

お客様は会社社長です。

当然に会計について自ら記帳するか、外注するか、従業員に伝える立場にあります。

その社長が出資金の行き先を把握しないと会計上困ります。したがって、我々資格者は計上先を教える部分までが仕事だと思います。
その際に根拠条文や理由を添えてお話しできるかどうかがクォリティの差になります。

司法書士は会計、税理士事務所とのお付き合いも多くなるので、このような会計との橋渡し知識は覚えておいた方がいいと思います。
日常的な話題の中でも、会計知識を知った上で会話できているかどうかを他所の事務所から見られている、そういう意識で私は会話しています。